内科: オープンアクセス
オープンアクセス

概要

単純ヘルペスウイルス食道炎の症例

竹内信宏、前田哲夫、青木良太、田中小百合、西田有、野村祐輔、多田英利

80歳の女性が重度の嚥下痛を主訴に当院を受診した。胃内視鏡検査では、口腔から胃食道接合部にかけて、いくつかの小さな楕円形の潰瘍が多数認められ、一部は凝集していた。潰瘍縁の生検標本の組織病理学的解析では、核内好酸球封入体を伴う変性上皮細胞と多核上皮巨細胞が認められた。そのため、HSV食道炎が疑われ、バラシクロビルが6日間投与された。2日後、症状は消失した。その後、免疫組織化学分析により、血清中のHSV-1 IgMおよびIgGならびに抗HSV抗体が陽性であることが明らかになり、HSV食道炎の診断が確定した。治療から10日後に実施した胃内視鏡検査では、食道病変が完全に消失していた。患者は入院後22日で退院した。