ISSN: 2155-9880
宮川正嗣、新井陸*、斉藤由貴、深町大介、阿久津直隆、奥村康夫
心不全による肝不全は可逆的な場合が多いが、今回我々は心原性ショック患者において不可逆的な LF と急性肝萎縮を呈した症例を経験したので報告する。症例は 72 歳女性で、急性肝不全を伴う心原性ショックと診断された。急性 HF に重点を置いた管理により心機能は改善した。しかし、肝機能障害は徐々に増悪し、最終的には HF ではなく、急性肝萎縮を伴う不可逆的な肝機能障害で死亡した。肝不全を伴う重症 HF 症例では、うっ血肝や低流量肝を念頭に HF の治療に専念することが多いが、HF を代償しているにもかかわらず肝機能のみが改善しない場合には、劇症肝炎の合併症も考慮して人工肝サポートや肝移植などの肝臓への介入を検討する必要がある。