ISSN: 2329-9096
熊井啓一、目黒健一*
本レビューでは、フレイル、ロコモティブシンドローム、筋骨格系歩行障害症状(MADS)複合体、サルコペニアといった混乱した概念を「言葉遊び」として整理する。臨床的認知症評価の概念は、混合状況の理解に役立つ可能性がある。アルツハイマー病患者は脳の病変が進行する過程で臨床状態が異なり、「疾患」と「状態」の二軸思考の考え方が必要である。フレイルに関しては、基準における「疾患」と「状態」の混在が混乱の原因となる可能性があり、これは日常臨床において重要な考え方かもしれない。多くの学術研究でフレイルが転倒の理由として特定されており、そのうち70%がFriedの基準を使用していることから、フレイルが運動機能の低下を反映していることは明らかである。これは、フレイルと転倒の関係を示唆している。