ISSN: 2155-6148
坂口ゆん、浜口慎介、大谷太郎、古川直樹、山口茂樹
患者は完全前置胎盤および巨大胎盤腫瘍を有し、19年前に三心房心(CorT)の修復歴があった。レミフェンタニル、チアミラール、ロクロニウムによる麻酔導入後、多巣性心室性期外収縮に続いて頻脈性不整脈が起こった。リドカインによる治療は無効であった。しかし、胎盤腫瘍の娩出および除去後、頻脈性不整脈は自然に改善した。CorT修復後に残った手術瘢痕が不整脈誘発性基質として作用し、この患者における妊娠の交感神経不安定性、巨大胎盤腫瘍、全身麻酔など、血行動態変化および低マグネシウム血症に関連するこれらの因子が予期せぬ不整脈を引き起こしたと推測した。結論として、完全前置胎盤および巨大胎盤腫瘍を有する成人先天性心疾患妊婦の帝王切開の場合には、血行動態の変化を慎重に考慮する必要がある。