ISSN: 2329-6917
中村直和
自家幹細胞移植(ASCT)は、造血悪性腫瘍に対する最も効果的な治療戦略の1つです。ASCTの前に、造血幹細胞を刺激して骨髄から末梢血に移動させ、採取する必要があります。プレリキサフォールは幹細胞の採取を増やすために使用されます。より効率的な採取を促進するプレリキサフォールの威力に疑問を抱く医師はいません。多くの研究で造血幹細胞動員の最適な戦略が検討されており、プレリキサフォールを使用する臨床基準が徐々に解明されてきました。しかし、プレリキサフォールがASCT後の転帰に及ぼす影響は不明のままです。そこで、ASCTを受けた43人の成人患者を対象とした2施設後ろ向きコホート研究を使用して、プレリキサフォールの有無で顆粒球コロニー刺激因子による幹細胞動員を受けた患者の移植転帰を比較しました。単変量、サブグループ、傾向スコアマッチング、逆確率加重分析により評価したところ、プレリキサフォールを使用した場合の方が使用しなかった場合よりも好中球および血小板の生着までの日数が有意に短かった。発熱の累積発生率はプレリキサフォールの有無で同程度であったが、敗血症の累積発生率はプレリキサフォールを使用した場合の方が使用しなかった場合よりも有意に低かった。したがって、プレリキサフォールは好中球および血小板の生着を早め、感染リスクを軽減すると結論付けた。