ISSN: 2161-0932
近澤健朗、根津幸穂、明石景子、鈴木友梨奈、堀田大輔、今野涼
ベバシズマブ(BV)は進行癌および再発癌の有効な治療選択肢として使用されているが、リンパ節への孤立性転移を伴う卵巣癌におけるその使用については現在まで報告されていない。本稿では、BV で完全奏効(CR)を示したリンパ節への孤立性転移を伴う卵巣癌(OVCA)再発の 2 例を紹介する。1 例目は、OVCA、FIGO ステージ Ic(b)、明細胞腺癌の 60 歳女性で、約 1 年後に右内腸骨リンパ節への孤立性転移を伴う再発を示した。パクリタキセル/カルボプラチン療法を 8 サイクル実施した結果、病状安定(SD)となり、ドセタキセル/カルボプラチン/BV 療法を 6 サイクル実施した結果、患者は副作用なく CR となった。 2 番目の症例は、FIGO 分類 IIIc 期の OVCA で来院した 34 歳の女性で、1 年後に門脈周囲および外腸骨リンパ節転移を伴う卵巣癌の再発がみられたが、パクリタキセル / カルボプラチン併用化学療法で CR となった。門脈転移および門脈リンパ節転移を伴うこの患者のさらなる再発に対しては、それぞれ手術と補助療法および手術を伴うイリノテカン / ネダプラチンによる治療が行われ、SD となった。さらに、傍大動脈および閉鎖リンパ節転移を伴う再発が認められ、6 サイクルのパクリタキセル / カルボプラチン / BV 療法で治療したところ、副作用なく CR となった。したがって、BV はリンパ節への孤立性転移を伴う OVCA 再発に有効である可能性があり、以前のレジメンに抵抗性のある播種がないこのような症例では有用である。