ISSN: 2329-9509
小竹茂、南家勇樹、矢後徹、川本学、小橋川剛、山中恒
T細胞白血病転座関連遺伝子(TCTA)タンパク質は、正常なヒト組織に遍在して発現しているが、その機能は明らかにされていない。2009年に我々は、TCTAタンパク質がヒトの破骨細胞形成と成熟ヒト破骨細胞のピット形成に重要な役割を果たし、in vitroで破骨細胞形成の融合プロセスを誘導することを実証した。本研究では、in vivoでのTCTAタンパク質の役割を明らかにするために、全身性および破骨細胞特異的なTCTA遺伝子トランスジェニックマウスと破骨細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスを作製し、それらの骨を分析した。驚いたことに、コンディショナルノックアウトマウスでは、破骨細胞形成が阻害されているにもかかわらず、骨量が減少していた。これらの知見に基づき、我々は破骨細胞上に発現するTCTAタンパク質がin vivoで「カップリング因子」としての役割を果たしていると推測した。