ISSN: 2161-0932
椎名裕司
制御卵巣過剰刺激(COH)条件下での血清中のエストラジオール(E2)濃度とSHBG濃度の密接な相関関係が調査されました。E2とSHBGは互いに協調しますが、分泌パターンは異なります。血清E2はD -4から増加し始め、D +1でピークに達し、その後2日間急速に減少しました。血清SHBGはD -1から増加し始め、D +3でピークに達し、黄体期の間高レベルを維持しました。
COH状態にある妊婦と非妊娠女性の間でのこれらのホルモンの異なる状況も調査されました。血清E2と血清SHBGはhCG注射時(D0)に妊娠グループと非妊娠グループの間で差はありませんでしたが、これら2つの比率は異なっていました。非妊娠グループでは、hCG注射時(D0)にSHBG/エストラジオール(S/E比)が妊娠グループよりも有意に高かった(p<0.05)。S/E比の日々の変化がプラトー(昨日と同じ値)になったときがhCG注射の推奨タイミングでした。これらの結果は、S/E比がCOH中のhCG注射のタイミングの良い指標になり得ることを示唆しています。hCG注射時にS/E比がすでに増加し始めている場合は、卵子採取のタイミングが遅いことを示しています。