ISSN: 2332-0761
山口健介、劉大偉
本章では、ミャンマーで行き詰まっているミッソン水力発電プロジェクトに関する「外国投資・協力における環境保護に関するガイドライン」の発行と問題注目サイクルの最初の2つの段階との関係を説明しようとした。ダウンズ(1972)の理論が示唆するように、ガイドラインは2013年に発行され、ミャンマーで問題への関心と反中感情がピークに達した直後であった。この場合の関連する段階は、ダウンの問題注目サイクルモデルによれば、「警戒すべき発見と陶酔的な熱狂」である。したがって、もともと民主的な制度に適用可能であった問題注目サイクルモデルは、社会主義市場経済を特徴とする中国の意思決定プロセスにも適用できる可能性がある。本研究では、国際社会が、大規模水力発電開発のプロジェクト前のより早い段階で、外国投資家と地元コミュニティ間のコミュニケーションチャネルを確保することを支援すべきであると提言している。