ISSN: 2165-7548
奥山栄作、矢野正美、杉山正剛、宮崎隆、片山哲治、渡邉圭輔、菊田幸一、佐藤大輔、安部啓次郎、松井邦彦、小川久夫、中村夏樹
目的: 日常の臨床管理における急性心原性肺水腫 (ACPO) に対する非侵襲的陽圧換気 (NPPV) の使用について、特に気管内挿管 (ETI) のタイミングと結果の点から検討する。方法: ACPO と診断され、当院の救急治療室 (ER) または集中治療室 (ICU) に入院し、NPPV を受けた患者 61 名を後ろ向きに検討した。ETI の理由を検討し、ETI の推定適切時間と実際の ETI 時間の間隔、および院内死亡率を記録した。結果: NPPV を受けた患者の死亡率は 8.2% (61 名中 5 名) であった。48 名 (78.7%) の患者は ETI なしで NPPV からの離脱に成功し、13 名 (21.3%) は ETI を必要とした。挿管された13人の患者のうち5人が死亡したが、ETI前のNPPV継続時間に生存患者と死亡患者との間に有意差はなかった。ETIの推定適正時間と実際のETI時間の間隔は、生存患者の方が死亡患者よりも有意に短かった(1.9 ± 3.8時間対8.6 ± 5.4時間、p=0.02)。ETIの推定適正時間と実際のETI時間の間隔が1.8時間を超える患者では、死亡率が有意に高かった(66.7%対14.3%、p<0.001)。結論:NPPVを受けたACPO患者では、ETIの実施が適正時間を超えて遅れると、死亡率の上昇と有意に関連していた。ETI前のNPPV継続時間は死亡率と関連していなかった。