ISSN: 2155-6148
三枝秀人、鈴木範人、山口智、小町太郎、角薗修、本郷崇、小野寺秀隆、愛野威一郎、中村隆、松岡千春、三枝誠、伊藤裕之
これまで、一つの病院で全身麻酔・気管挿管下で治療・検査を受けた患者における披裂軟骨脱臼の発生率は報告されておらず、気管挿管後の披裂軟骨脱臼の真の発生率や機序についてもまだ調査されていない。そこで、日本医科大学本院中央手術センターにおいて、2004年から2005年の2年間に全身麻酔・気管挿管後の患者の披裂軟骨脱臼の発生率を遡及的に検討した。全身麻酔・気管挿管後の患者の披裂軟骨脱臼の発生率は0.2%で、心臓血管手術を受けた患者が最も多かった。披裂軟骨脱臼患者の平均年齢は70歳であった。食道心エコー検査や上部消化管内視鏡検査などの食道への追加的な医療器具の使用、および2日を超える長期の気管挿管は、披裂軟骨脱臼を引き起こす危険因子であると考えられます。また、喉頭軟骨の石灰化や、加齢に伴う頸椎の形態変化も、披裂軟骨脱臼に寄与する可能性があります。