ISSN: 2329-8901
河合智美、大島智子、新良一、井川聡、前田伸子、五味一宏
背景と目的:プロバイオティクスは、微生物叢のバランスを改善できる生きた細菌です。最近、口腔の健康促進や口腔疾患の予防など、プロバイオティクスの効果について多くの研究が行われています。しかし、歯周病病原菌に対するプロバイオティクス細菌の活性の根底にあるメカニズムは明確に解明されていません。本研究の目的は、歯周病の予防と治療におけるプロバイオティクスとしての乳酸菌の効果を調べることです。
材料と方法:乳酸菌50株の培養上清の歯周病原菌Porphyromonas gingivalis ATCC33277に対する増殖抑制効果を検討した。中性pH条件下で抗菌性を有する物質を得るために、各培養上清を中和し、ゲル濾過カラムクロマトグラフィーと逆相HPLCで精製した。精製物質の分子量をLC-MSで分析した。
結果:結果から、Lactobacillus plantarum 122(口腔由来)とL. fermentum ALAL020(発酵豆乳食品由来)の2つの株が強力な成長阻害効果を持つことが示されました。L. plantarum 122が産生する主要な抗菌物質は乳酸ナトリウムであると考えられました。一方、精製したL. fermentum ALAL020が産生する主要な抗菌物質の分子量は226.131 Daでした。LC-MS分析により、その組成はC11H18O3N2であることが明らかになりました。
結論: L. plantarum 122のP. gingivalisに対する抗菌物質は乳酸ナトリウムであり、精製したL. fermentum ALAL020の抗菌物質は新規低分子物質であった。この抗菌物質は歯周病予防に利用できる可能性がある。