人間工学ジャーナル
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概要

事前呼吸不要の船外活動用宇宙服用手袋の開発と評価

Kunihiko Tanaka

現在の米国の宇宙服は船外活動ユニット（EMU）と呼ばれ、宇宙の真空中で0.29気圧（4.3psiまたは29.6kPa）の100％酸素で加圧されています。この圧力は地上や国際宇宙ステーションよりもはるかに低く、減圧症（DCS）を避けるために事前呼吸が必要です。圧力を高くするとDCSのリスクは減りますが、宇宙服の内外の圧力差が大きくなるため、機動性が犠牲になります。機動性の問題を解決するために、私たちは伸縮性のある素材を採用しました。高い機動性が得られれば、より高い加圧が可能になります。そこで、事前呼吸なしで減圧症を回避できる最小圧力である0.65気圧に加圧した伸縮性グローブを開発しました。

0.29気圧（現在のEMUをシミュレート）での非弾性手袋の可動範囲は、0.65気圧での弾性手袋の可動範囲と同等でした。しかし、0.65気圧での弾性手袋を使用した指の屈曲時に筋電図で評価した必要な力は、0.29気圧での非弾性手袋を使用した場合よりも小さかったです。これらの結果は、新しい船外活動スーツのさらなる開発と調査を促進するでしょう。