Shujian Chang、Yudan Zhou、Ruiron Wu、Xiaosong Ge、Yong Pu
KRAS変異の有無による患者の遺伝子変異プロファイルを比較するため、858人の臨床病理学的データと大腸がん患者1697人のNGS検査結果を用いた。858人の患者のうち、KRAS変異患者349人中2人(0.5%)のみがBRAF変異を有していたのに対し、 KRAS野生型患者422人中25人(5.9%)がBRAF変異を有していた(p<0.0001)。NGSの結果から、RAS変異患者では、変異率の高い遺伝子として主にAPC、TP53、PIK3CA、Smad4、Fbxw7が含まれ、 RAS野生型患者では、変異率の高い遺伝子として主にTP53、APC、LRP1B、MYC、BRAFが含まれることが示された。RAS野生型群におけるBRAFとEGFRの変異率はそれぞれ15%と9%であったのに対し、 RAS変異群ではわずか3%であった。RAS変異群におけるPIK3CAの変異率は31%であったのに対し、RAS野生型群では14%であった。APCの変異率は72.2%(すなわち、687/952)であった。APC野生型群における遺伝子RNF43の変異率は、 APC変異群における遺伝子NSD1の変異率よりも5.23倍高く、 APC野生型群における遺伝子NSD1の変異率は、APC変異群における遺伝子NSD1の変異率よりも0.07倍高かった。TP53の変異率は78.2%(すなわち、744/952)であった。TP53野生型群のMLH1の変異率は、TP53変異群の8.42倍であり、TP53変異群よりも有意に高かった。一般に、遺伝子変異プロファイルは、 KRAS変異と野生型の大腸癌患者の間で有意に異なっていた。単一の遺伝子変異は、シグナル伝達経路の機能不全を引き起こすのに十分である可能性があり、APC、TP53、またはRASは散発性大腸癌の発癌には必要ではない。