ISSN: 2329-9096
小川勇人、佐野壮一*、ケネス・ウォルシュ*
クローン造血とは、造血幹細胞のかなりの割合が特定のドライバー遺伝子に変異を獲得し、明らかな造血悪性腫瘍がない状態で増殖する状態である。最近の臨床研究では、クローン造血が造血悪性腫瘍および心血管疾患の可能性を高めることがわかっている。臨床研究ではクローン造血に関連する候補ドライバー遺伝子が無数に特定されているが、疾患プロセスとの因果関係および機構的関係を評価するには実験研究が必要である。この作業は、従来の遺伝子操作マウスでは技術的に困難で費用もかかる。CRISPR-Cas システムの汎用性とプログラム可能性により、研究者は実験システムで各変異の病因を評価できる。技術的な改良により、細胞タイプ特異的な方法と 1 塩基対の解像度で遺伝子編集が可能になった。ここでは、クローン造血の実験研究に CRISPR-Cas システムを適用するための戦略と対処すべき懸念事項をまとめる。