ISSN: 2379-1764
本城光良、糸井高雄、曽布仁淳、土屋貴嘉、辻秀次郎、池内信人、鎌田健太郎、田中れいな、梅田順子、殿塚良輔、向井俊太郎、藤田満、守安文則、渡辺裕之
はじめに:胆道狭窄は胆道手術後に発生することがあり、胆道うっ血や胆管炎を引き起こす可能性がある。従来は治療が困難と考えられていた術後の門脈狭窄や吻合部狭窄に対して、最近、完全被覆型自己拡張型金属ステント(FCSEMS)が使用されるようになった。一方で、最適な金属ステント留置期間に関する確固たるエビデンスはない。
方法: 2013年から2015年の間に当院でFCSEMSを用いて術後良性胆道狭窄の治療を受けた患者を後ろ向きに検討した。
結果:術後良性胆道狭窄の患者 12 名に合計 14 回の金属ステント留置を行った。全患者において、金属ステントは内視鏡的に留置され、留置後に安全に除去された。ステント留置の平均期間は 47.9 日 (28-144) であり、金属ステント留置中に逆行性胆管炎は観察されなかった。金属ステント除去後、9 名の患者で狭窄が改善した。3 名で再発が、2 名で胆管結石の再発が、1 名で胆管炎が認められた。有害事象には ERCP 後膵炎が 2 名に認められ、1 名では翌日のステント除去と保存的治療により軽快し、もう 1 名では保存的治療のみで軽快した。2 名でステント遠位方向の移動が認められた。
結論:今回の結果は、術後難治性胆道狭窄患者に対して金属ステント留置を行うことで、狭窄の改善がより短期間で期待できることを示唆している。胆管結石患者では、金属ステント拡張後に結石摘出術を安全かつ効果的に実施できるが、さらなる研究が必要である。