がん研究と免疫腫瘍学ジャーナル
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概要

下肢悪性骨軟部腫瘍の手術後の静脈血栓塞栓症の発生率、診断、および危険因子

吉村康夫、池上翔太、青木薫、磯部憲一、鬼頭宗久、川崎健司、石嶺奈生、倉田淳一、菅野光敏、加藤裕之

目的：本研究は、下肢の悪性骨軟部腫瘍の手術を受けた患者における静脈血栓塞栓症（VTE）発症の発生率、特徴、危険因子、および血液凝固マーカーの診断価値を前向きに評価することを目的とした。

方法：超音波検査で検査した患者20名を対象とした前向き研究。術中血清中の可溶性フィブリンモノマー複合体（SFMC）とDダイマーを測定した。VTEの発生率、VTE発現時間、血液凝固マーカーの変化、および各リスク因子の影響を評価した。

結果: 20人の患者のうち8人にVTEが認められた。この8人のうち4人は症状のない肺塞栓症（PE）の所見があった。VTEの発症時期は手術後1日目から7日目であった。SFMCのカットオフ値はどの測定時点でも<3μg/mLであり、受信者動作特性分析におけるDダイマーは約2g/mLであった。BMIが唯一の有意なリスク因子であった。

結論： VTE は術後の物理的予防のみでは発生率が高く、術後早期に発生することが多かった。SFMC や D-ダイマーは必ずしも VTE 発症の検出に有用ではなかった。リハビリ介入に関しては、術後 1 週間までリスク管理が必要である。