ISSN: 2155-9899
城ノ内 晴美、Lee Geng、Steve Buyske
目的:自閉症スペクトラム障害 (ASD) の子供では自然免疫の異常が頻繁に報告されていますが、ASD における自然免疫の役割は十分に解明されていません。この研究では、ASD の臨床的特徴と併存疾患における自然免疫の役割の可能性を調査しました。
方法: ASD 患者 (N=125) と非 ASD 患者 (N=36) の精製末梢血単球 (PBMo) を自然免疫刺激剤の有無で一晩培養し、炎症誘発性サイトカインと対抗調節性サイトカインの産生を評価しました。行動症状は、PBMo サンプル採取時に異常行動チェックリスト (ABC) によって評価しました。
結果: ASD PBMo では、非 ASD 対照細胞での IL-1β/IL-10 比の範囲が狭いのとは対照的に、IL-1β/IL-10 比の変動が非常に大きいことが明らかになりました。 ASD データを全体として分析した場合、サイトカイン レベルまたは IL-1β/IL-10 比と ABC サブスケール スコアの間に関連は認められませんでした。ただし、ASD データを IL-1β/IL-1 比の高いグループ、低いグループ、または正常 (コントロールと同等) のグループに分けると、高比率グループでは IL-1β レベルが常同性と正の相関関係を示しました。対照的に、正常比率グループでは、IL-1β および IL-10 レベルが易怒性、無気力、および多動性と負の相関関係を示しました。低比率グループでは、IL-1β レベルと無気力の間に負の相関関係が認められました。選択された ASD 被験者で PBMo からのサイトカイン産生の縦断的変化を調べたところ、IL-1β/IL-10 比が逸脱した (高いまたは低い) ASD 被験者では比率の変動が見られましたが、正常比率の ASD 被験者では比率は安定していました。比率が異常な ASD 患者は、正常比率の患者よりも、非 IgE 媒介性食物アレルギー (NFA) (p<0.05) および発作性疾患 (p<0.01) の頻度が高いことが分かりました。
結論:自然免疫応答によって生成される IL-1β および IL-10 は、神経免疫ネットワークで重要な役割を果たします。したがって、ASD 単球からの IL-1β/IL-10 比率の異常 (高または低) は、ASD における神経免疫調節の変化および合併症 (NFA および発作性疾患) のリスクを評価するための有望な候補バイオマーカーとなる可能性があります。