ISSN: 2155-9570
太田有香、南圭一郎、沖慎一郎、ビッセン宮島寛子
目的:回折型多焦点眼内レンズ (MF-IOL) のシリコーンと疎水性アクリル材料の視機能の安定性を比較する。
方法:この後ろ向き研究では、第 1 眼にシリコーン MF-IOL を、もう一方の眼に疎水性アクリル レンズを装着した 10 人の患者の臨床記録を検討した。術後 2 年までの logMAR 補正遠方視力 (CDVA) と遠方補正近方視力 (DCNVA) の個人内差を評価した。1 年後のコントラスト感度も比較した。
結果:患者の年齢は 39 歳から 77 歳までであった。2 年後の無補正遠方視力に統計的差はなかったが、無補正近方視力はシリコーン IOL の方が優れていた (P=0.046)。シリコーン MF-IOL を使用した CDVA と DCNVA の中央値はそれぞれ -0.13 と 0.10 logMAR であったのに対し、疎水性アクリル MF-IOL を使用した場合はそれぞれ -0.09 と 0.12 logMAR であった。2 つの材料間に有意差は認められなかった (P>0.17)。コントラスト感度に差はなかった (P>0.11)。シリコーン MF-IOL を使用した片方の眼は Nd:YAG レーザー嚢切開術を受けた。
結論:回折 MF-IOL の材料と製造の違いは、長期的な視力に影響を与えなかった。