ISSN: 2165-8048
竹内信博、野村祐輔、前田哲夫、多田英利、高田正則
77 歳男性が路上で意識不明の状態で発見され、当院に搬送された。入院時、激しい胸痛を訴えた。収縮期血圧は 58 mmHg であったため、心原性ショックと診断された。12 誘導心電図 (ECG) では、II、III、aVf、V1 - V5 誘導で ST 上昇が認められた。胸痛の発作と異常な ECG 所見から AMI と診断された。冠動脈造影では、左主幹部 (LMT) と左前下行枝 (LAD) に高度狭窄が認められた。本症例では LMT が原因病変と考えられた。検査中、モニタリング ECG で心停止が判明したため、直ちに経皮的心肺蘇生法を用いて心肺蘇生を実施した。心室細動は明らかであったが、360 J で除細動を行ったところ洞調律に回復した。その後、大動脈内バルーンパンピングと経皮的冠動脈形成術を施行し、左中頭大動脈と左前下行大動脈に冠動脈ステントを留置することに成功した。術後経過は順調であったが、13日目に大量下血が出現した。大腸内視鏡検査では上行大腸から盲腸にかけてギプス状の剥離粘膜が認められ、重度の腸虚血が疑われた。非造影CTでは下部腸穿孔が疑われた。循環器疾患およびAMI後の抗凝固療法のため、外科治療の対象とはならず、保存的治療を行ったが、汎発性腹膜炎による多臓器不全で死亡した。