ISSN: 2155-9570
鈴木幸彦、あだち公武、高橋静香、前野温子、中沢満
目的:裂孔原性網膜剥離 (RRD) 患者の硝子体液中の生物学的抗酸化能 (BAP) を特徴付ける。
設計:実験室調査。
材料と方法: RRD (45 眼)、増殖性糖尿病網膜症 (PDR、93 眼)、網膜静脈閉塞症 (14 眼)、網膜上膜 (ERM、18 眼)、黄斑円孔 (MH、24 眼) の患者から硝子体切除時に未希釈の硝子体液を採取しました。BAP 値は、Fe3+ から Fe2+ への変換によって示される還元電位を測定することで決定しました。剥離の範囲、症状の持続期間、増殖性硝子体網膜症または硝子体出血の有無、黄斑状態 (オンまたはオフ) などの臨床的特徴、および患者の年齢を分析しました。
結果: RRD患者はMH患者よりもBAPが有意に低く、PDR患者はERMおよびMH患者よりもBAPが有意に低かった。臨床的特徴に関しては、RRD患者のBAPは剥離領域の範囲と有意に相関していたが(β=−0.384、p=0.008)、多変量回帰分析ではBAPと他の特徴との間に有意な相関はなかった。
考察:今回の結果は、RRD 患者では MH 患者と比較して酸化ストレスが有意に増加していたことを示唆している。酸素ストレスを制御することは、RRD の場合の光受容体保護に効果的な治療法となる可能性がある。