ISSN: 2161-0487
茂木健之と田森ヨシ
公金の効率的な支出は社会的な関心事である。多くの国の規則では、年度末に未使用の予算は「失効」し、残ったお金は国庫に返還され、翌年の予算が削減される可能性がある。これに応じて、人々は支出能力の範囲内で、年末に向けて残りの予算を使い切る傾向があり、「使わなければ失う」という考え方になっている。本研究では、被験者が年度末に向けて過剰に支出する傾向がある「年末の支出過多」を実験で再現する。予算規則を修正して残りのお金が「繰り越される」ようにすることで、過剰支出を大幅に抑制できることを示す。私たちの結果は、実験室での実験を使用して人々の予算支出行動を研究し、無駄な過剰支出に影響を与える要因を特定し、予算の有効活用を促す財務規則の設計に役立つ可能性があることを示唆している。