ISSN: 1314-3344
小幡 弘*
本研究では、モデル国の中央政府の財政健全性を実証し、現在を出発点としている。財政健全性は、(1)出発点の間および出発点以降、中央政府が予算項目の執行に必要な資金を捻出でき、中央政府が財政維持資金に不足する状況が決してないこと、(2)出発点で中央政府が負債を抱えていたとしても、負債の額にかかわらず問題がない、という基準で決定される。この実証は、現実の国に非常によく似たモデル国で、数学的帰納法を用いた純粋論理に基づいている。議論では、この実証が適用される国の必要条件と初期条件を導出する。さらに、インフレによって引き起こされる問題の解決策について議論する。結論として、財政的に健全な中央政府を持つ国は、上記2つの意味で存在し得る。