ISSN: 2155-6148
市川純子、小高光晴、遠藤正人、西山桂子、前正広、富沢泰子、小森真紀子、尾崎誠
肺全摘出術を受け、残存肺の手術を必要とする患者では、肺葉の選択的隔離が不可欠である。気管支ブロッカーの使用には、以下の問題が伴う。1) 配置にかなりの時間を要することがある。2) 肺の虚脱を早めるために吸引がしばしば必要となる。3) ブロッカーの位置は、時には術中にファイバー気管支鏡を使用して修正しなければならない。これらの問題を解決するには、医師が 64 列多列検出器コンピュータ断層撮影 (MDCT) で取得した術前の冠状多平面画像でブロッカーの位置をシミュレーションし、肺隔離用の気道器具に精通することが有用である。我々は、左肺全摘出術を受けた患者において、64 列 MDCT の術前の冠状多平面画像を参考にして気管支内ブロッカーによる選択的肺葉遮断を行った例を報告する。