ISSN: 2155-6148
新宮千尋、西田太一、萩原聡、椎原啓介、大山芳正、阿部隆邦、野口貴之
全身麻酔下で外科的に治療できる胸腺腫は、重症筋無力症の病態生理と関連している。筋力低下は重症筋無力症の特徴であるため、これらの患者は非脱分極性筋弛緩薬の効果に過敏である。神経筋遮断薬は術後の筋弛緩を延長させ、呼吸機能の低下につながる可能性がある。したがって、周術期の筋弛緩薬の慎重な投与が重要である。神経筋拮抗薬のスガマデクスは、筋弛緩薬に関連する問題に対抗するために使用されている。非脱分極性筋弛緩薬をカプセル化することにより、スガマデクスは神経筋遮断を反転させることができる。ここでは、重症筋無力症の症例を3例報告する。各症例では、周術期管理に、手術中の筋弛緩薬の使用を最小限に抑えるためのTOF(train-of-four)モニターの使用が含まれていた。スガマデックスは術後に投与され、重症筋無力症患者に安全に使用でき、術後の呼吸器合併症のリスクを効果的に軽減できる可能性がある。