ISSN: 2155-9880
パスカル・スタメット、メラニー・キルヒマイヤー、ルー・チャン、ダニエル・R・ワグナー、イヴァン・ドゥヴォー
背景:心停止 (CA) 後の転帰を早期に予測することが治療戦略に影響を及ぼす可能性があります。既存のバイオマーカーの価値は限られています。そのため、循環血球のトランスクリプトームの分析が CA 後の転帰の予測に役立つかどうかを検討しました。
方法: CA 後に蘇生し、低体温療法を受けた連続昏睡患者を本研究に登録しました。CA の 48 時間後に血液サンプルを採取し、マイクロアレイと定量的 PCR による遺伝子発現解析を行いました。6 か月後の神経学的転帰は、脳機能カテゴリー (CPC) を使用して評価しました。CPC 1-2 の患者は良好な神経学的転帰があると考えられ、CPC 3-5 の患者は不良転帰であると考えられました。
結果:最初のコホートは 35 人の患者で構成されていました。マイクロアレイにより、CA 後の神経学的転帰に関連するバイオシグネチャーが明らかになりました。良好な神経学的転帰の患者 (n=21) と不良な神経学的転帰の患者 (n=14) の間で 582 個の遺伝子の発現が異なっていました。バイオインフォマティクス解析により、これらの遺伝子と神経損傷の間に有意な関連があることが明らかになりました。マイクロアレイの予測解析により、ケモカイン(C-X3-C モチーフ)受容体 1(CX3CR1)が予後バイオマーカーの候補として特定されました。CX3CR1 は転帰良好患者で上方制御され(2 倍、P<0.001)、AUC 0.92(95% CI [0.83; 1.00])で神経学的転帰を予測しました。45 人の患者からなる 2 番目のコホートでは、CX3CR1 は転帰良好患者で増加し(1.6 倍、P=0.003)、AUC 0.76(95% CI [0.60; 0.92])で転帰を予測しました。多変量解析により、CA 時の CX3CR1、ニューロン特異的エノラーゼ、および急性心筋梗塞が生存の有意な予測因子であることが判明しました。これらの変数は生存率を予測する上で付加的な価値を持っていました (AUC 0.84)。
結論: CX3CR1 は CA 後の新しい候補予後バイオマーカーであることが判明しました。その予測値を確認するにはさらなる研究が必要です。