ISSN: 2165-7548
伊藤真一、軽部典子、広川淳、迫沙織、横山武史
背景/目的:歯科診療所で患者が突然心肺停止 (CPA) に陥った場合、歯科医療従事者は歯科用椅子に座ったまま心肺蘇生 (CPR) を行う必要があります。しかし、歯科用椅子の中には背もたれの下に安定した支えがない椅子もあり、胸骨圧迫を行うのに十分な安定性がないものもあります。私たちは、歯科用椅子を安定させて、椅子で実施する胸骨圧迫の有効性を高める方法について調査しました。
材料と方法:胸骨圧迫 (深さ 5.0~6.0 cm) は、歯科用椅子の背もたれに置いた CPR 用人体マネキンで行いました。胸骨圧迫による人体マネキンの胸部の動きと背もたれの変位をビデオデータとして記録し、各圧迫深度における背もたれの動きの平均振幅を分析しました。歯科用椅子の 3 つの異なる高さ設定と、背もたれの下に安定装置として丸いスツールを使用することが、CPR 中の歯科用椅子の安定性に与える影響について調査しました。
結果:歯科用椅子の高さ設定の違いは、胸部圧迫による背もたれの垂直方向の動きに有意な影響を与えませんでした。背もたれの動きの平均振幅は、スタビライザーの有無でそれぞれ 1.99±0.74 cm と 0.43±0.18 cm でした。
結論:歯科用椅子の背もたれの下にスタビライザーとして丸いスツールを置くと、胸部圧迫の有効性が高まる可能性があります。