ISSN: 2329-8731
三森八重子
本稿では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとワクチン・治療薬の開発における知的財産権(IPR)の役割について分析する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは2020年に世界中に広がり始めた。製薬会社やバイオテクノロジー企業は、パンデミックがもたらす課題に立ち向かうために、治療薬やワクチンの開発を進めてきた。裕福な国々や国際的な非政府組織(NGO)や非営利団体(NPO)は、これらの取り組みに多額の資金援助を行っており、成果が出始めている。話題となっている新型コロナウイルス感染症関連の知的財産権への対応については、さまざまな関係者が異なる立場を取っている。本稿では、パンデミックの現状を検証し、新型コロナウイルス感染症関連の医薬品・ワクチン開発の経緯を振り返り、新型コロナウイルス感染症関連の知的財産権に対する包括的かつ公平なアプローチを提案する。