ISSN: 2471-9455
富田 薫
本研究では、日本語にカタカナで表記される英語の借用語に対応する英語最小対語の2つの子音、/s/と/S/、または/b/と/v/を、日本人英語学習者がどのように発音するかを調査する。6人の日本人英語学習者と6人の英語母語話者が発声したこれらの子音のスペクトルピークの周波数、継続時間、および強度を音響機器で測定した。これらの音声的特徴のうち、/s/と/S/のスペクトルピークの周波数には有意な差が認められた。これは英語母語話者と日本人英語学習者の両方に当てはまった。また、/b/と/v/の継続時間、および/S/と/s/、または/b/と/v/の強度にも有意な差が認められた。各子音対に対するこれらの特徴の値の距離は、日本人英語学習者の方が英語母語話者よりも小さい傾向があるという仮説も検証された。今後の研究への示唆についても簡単に議論する。